遺言は、ご自身の資産の整理点検をし、家族への遺産の仕分けを主な目的とする遺言者の意思表示です。
法律の定めた要件を満たせば、遺言書は遺産をめぐる親族間の争いを防止するための最も有効な手段の一つになります。
遺言を「死にぎわに言葉を残すこと」など国語辞典的な意味でとらえて、縁起でもない、まだ若いので必要ないとお考えの方も多いかもしれません。
しかし、法律上の遺言は、基本的に遺言者の意思の実現が保障される立派な法律行為なのです。
もし、遺言書さえあれば、スムーズに分配ができ、遺産を最も有効・有意義に活用できたのにと悔やまれるケースが後を絶ちません。金額の多少は関係ありません。
ご自身が生涯をかけて築き、かつ守ってきた大切な財産が、かえって親族の争いの種になるという悲しい結果を避けるため、遺言書(公正証書)の作成を強くお勧めします。
遺言書を作成する必要の特に高い場合
・夫婦の間に子がなく、めぼしい財産が現在住んでいる自宅とその敷地であるとき
・相続人になる資格のある人が一人もいないとき、または、相続人になる資格のある人が複数いるがその中に行方不明者がいるとき
・内縁の配偶者がいるとき
・息子が死亡し、その後も息子の両親の世話をしている息子の嫁がいるとき
・先妻との間に子があるが再婚して後妻がいるとき
・現在別居中で事実上の離婚状態にある配偶者がいるとき
当事務所が「公正証書」による遺言を強くお勧めする理由
公正証書遺言には、自筆証書にはない次のメリットがあるからです。
1.公正証書は専門の公務員である公証人が作成する公文書。法律的な不備で無効になることや紛失の恐れがありません。
2.家庭裁判所の検認が必要ありませんので、遺族に無用の負担をかけることがありません。
公正証書遺言作成の概算費用
司法書士の報酬手数料と公証人の手数料が必要です。
司法書士の手数料
基本報酬 8万円(税込8万8千円) :相談料、遺言書原案作成、公証人との打ち合わせの報酬手数料を含みます。
*上記の金額のほか、、当事務所で証人をを引受け、公証役場での立会をさせていただく場合は、 証人一人につき1万円(税込1万1千円)が別途申し受けます。
*戸籍謄本や登記事項証明書等の代行取得をご希望の場合は、実費の他、別途手数料を申し受けます。
*実際には、作成すべき書類の内容・分量等により金額が異なります。一応の目安とお考え下さい。また、詳しくはお問い合せ下さい。
公証人の手数料
例えば、土地・建物を含めた総額5千万円の財産を妻1人に相続させる場合の手数料は、基本手数料29,000円に遺言加算として11,000が加算された40,000円が手数料となります。これに証書の用紙代が加算され、公証人に支払う手数料の総額がおよそ45,000円程度になります。
※公証人の手数料は、相続・遺贈する人の人数によっても異なりますし、遺言者が病気などで公証人が出張する場合には旅費・日当が別途必要になるほか、基本手数料も加算されます。詳しくはお問い合せ下さい。
※公証人の手数料ついては公証人連合会の手数料(公正証書作成等に要する費用)のページに詳しい説明があります。
公正証書遺言作成の流れ
1.遺言内容の詳細について、司法書士がご本人のお考え・お気持ちを伺い、ご相談させていただきます。
2.必要な資料を集めた上、遺言の原案を作成します。
3.原案についてご確認いただき、ご要望に基づいて加筆修正し、案文を完成させます。
4.司法書士が公証人と打合せをします。必要に応じて案文を加筆修正した場合はさらにご本人にその確認をしていただきます。これで準備完了です。
5.約束した日時に公証役場に証人2名と共に出向きます。
6.公証人から本人確認、内容の確認を求められますので、これに対応し、間違いがなければ署名し実印で捺印します。
7.即日、完成した公正証書遺言が受け取れます。なお、原本は公証役場で保管されます。
公正証書遺言作成に必要な一般的な書類など
1.遺言者の印鑑証明書と実印
2.遺言者と相続人の続柄が分かる戸籍謄本・原戸籍謄本など
3.相続人以外の人に遺贈する場合は、その人の住民票
4.財産の特定資料
(1)不動産:登記簿謄本、固定資産評価の通知書・証明書
(2)預貯金:通帳・証書のコピー
(3)その他:具体的に当該資産が特定できる資料のコピー
5.証人2名の免許証または住民票(住所・氏名・生年月日)
証人2名の認印。証人を当事務所でお引き受けする場合は不要です。
6. 遺言執行者を指定する場合は、その免許証または住民票
7. 財産に関すること以外の遺言事項があれば、その原稿
※上記の書類いずれも各1通ずつで足ります。また、場合によりその他の書類が必要になることがあります。